- 【お豆腐の作り方】
- 1.大豆を水につけてふやかす
- 2.ふやけた大豆に水を加えて液状になるまですりつぶす
- 3.すりつぶした液体を鍋で煮る
- 4.布でこしたり、絞ったりする
- 5.絞った水分が”豆乳”、こし布に残ったものが”おから”
- 6.豆乳を鍋に入れて温める
- 7.にがりを入れる
- 8.固まりかけの豆乳をまた布でこす
- 9.型にいれて重石を乗せる
- 10.”豆腐”の完成。
~うちの切刃で切れないものはない!~
フワッとシュワッとおいしいよね!
煮てよし!焼いてよし!炒めてよし!
ちょっと大人に炙ってよし!中にごはん詰めてよし!
調理の仕方は100万通り。シーンに応じた表情の使い分け。
「まさに食品業界のっ!」「カメレオン俳優や~~~!!!」
さて今日は、油揚げについて熱く語っていこうと思う。
油揚げの歴史は江戸時代初期までさかのぼる。その時代「油」といえば
高級品。庶民にとって揚げ物はそう頻繁に食べられるものではなかった
そうだ。江戸時代中期になりやっと油の供給量が増え、庶民の間に油が
広まったことで流行りはじめた“天ぷら”。
その変わり種として考案されたものが「油揚げ」だった。
ところで、油揚げがのったうどんやそばを「きつね」と呼ぶのはなぜか
知っているだろうか。
「油揚げはキツネの大好物だから」とか「キツネと同じ色だから」みたいなけっこう可愛い理由で教育されてきた筆者だったか、今になって調べてみるとあながち間違っていなかったことに驚いている。
しかし諸説ありまくるので、ここで紹介することはせず気になった人は自分で調べてもらえたらとおもう。(放任主義)
皆さんは、油揚げって何?と聞かれたらちゃんと答えられるだろうか。そもそも油揚げが何からできているかというと、
ご存じのとおり「豆腐」だ。ではお豆腐は何からできているか・・「大豆」だ。
では、お豆腐の作り方はご存じだろうか。
知らない人も多いと思うので、筆者がざっくりと紹介しよう。
なんと工程のなかで「豆乳」と「おから」が作り出され、その「豆乳」を使って「豆腐」を作っているのだ。
そして作られた豆腐がさらに「油揚げ」へと・・・。
とても手のかかる製造工程を踏んでいるのに、それぞれの食材は比較的安価な価格で売られていることが多い。
私たちは町の豆腐屋さんおよび豆腐製造業界の方にもっと感謝してしかるべきではないか。
「もっとーー!もーーっとーー!儲けていいと思いますーーーー!」(大声)
この声が届くことを祈ろう・・・
さてちょっと脱線したが、さっそく金子製作所に行って油揚げを切ってもらうことにした。
筆者
「こんにちは。今日は油揚げを持参しました。これを切っていただくことはできますか。」
金子専務
「チッなんだお前!また来たのかよ。悪いけど今日は忙しいから
帰ってくれ」
慌ただしく動き回る専務。どうやら今日訪問したのは間違いだったようだ。
でも筆者にも筆者なりのプライドがある!こんなことで怖じ気づき、帰るなんてもってのほか。
一歩も引くわけにはいかないのだ。
筆者
「・・・お忙しいところ、恐縮です。でも私はどうしてもこの油揚げを切ってもらいたくて伺った次第です。この油揚げを切ってもらう
までは、絶対に、絶対に、絶対に帰りません!」
金子専務
「ふん、好きにしやがれ!!!!!」
筆者は、油揚げを切ってもらうまでは絶対に帰らないことを心に決め、隅で待つことにした。
筆者
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
筆者
ぬおー!もう30分も待ってるんですけどぉおおおお!
(体感的には、実際は5.6分)
金子専務
「おい、そこの!」
筆者
やっとお声がかかった!!!!!
は~い!!今行きまぁーーーーーす+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚:.。+゚
金子専務
「ほら、早くしろ!さっと切って終わらせるから」
筆者
「ちょちょちょちょちょちょっと待ってください!!!!
あのですね、こちらにも段取りがあってですね、まずこちらから
切れない理由を説明してですね、そしてそれに反論してもらって
ですね、っていうねーー、流れがあるんですよ!」(しどろもどろ)
金子専務
「うるせーな、わかったから早くしてくれ!」
筆者
「えーまずですね、油揚げが切れない理由っていうのですはね。実はとくにないんですよ。むしろ切れてるやつが売ってるのを見たこともあるんですよ。(え・・)なんですけども、金子製作所だったらこの油揚げ、どう切るのかなっと」
金子専務
「・・・ああ?お前ずいぶん偉そうだな。」
筆者
「す、すみません・・」
金子専務
「油揚げかー。そうだなー。ただこれを普通に切ったら面白くも
何ともないんだろ。」
筆者
「あ、いえいえ!ただ、金子製作所の切刃の持ち味を生かして切ってもらえたらいいなと思って・・・」
金子専務
「んー。そうだな!だったら、ビビるくらい細かく切ってみたら
どうだ。」
しめしめ・・。
筆者は金子専務のやる気スイッチを押すことに成功ようだ。
金子専務の気が変わらないうちに、
さっそく検証をスタートしていただこう。
切刃にセットされる油揚げ。
機械に吸い込まれ、切れたものがすこしずつ顔を出してきた。
わー!!!!なんだろうこれ!!!!!
わー!!!!なんだろうこれ!!!!!
(2回目)
わー!!!!なんだろうこれ!!!!!
(3回目)
こなぁああああああぁゆきぃぃいいいいいいいい!(粉雪)
って感じじゃない!?!?(語彙力)
すぅんごいサラッサラなんですけど+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚:.。+゚
金子専務
(どや!)
筆者
筆者は金子専務の絵にかいたようなどや顔にツッコミを入れたいのを抑えた。
「金子専務、これはもう世紀の大発明といっても過言では
ありませんよ」(誰)
考えてみてほしい。
インスタント麺や、味噌汁にふわっと投入すれば一気にコクとうま味が増すこと間違いなき事案であろう。それ以外にもご飯に混ぜたり、サラダのトッピングなんかもイケるんじゃないか!!
筆者の閃きは確信に変わった。
これは新しい時代の幕開けと言っても過言ではないだろう・・・・・。
しかし、金子専務は表情を変えずにこう言った。
金子専務
「でもよー、油揚げってのは必ず油抜きすんだろ。
先に細断しちまったらどうやって油抜きすんだよ。」
筆者
「た、たしかに・・・。そしたらですね、、、、うん!
切る前に油抜きしたものを細断しましょう。」
金子専務
「いや、そうは言っても製造メーカーは油抜きする工程をひとつ
増やさなきゃならねーんだろ。そこまでしてこの油揚げを売りたい
と思うかは正直微妙だな・・」
筆者
「ぬぬ、確かにそうだ。何百、何千と製造する油揚げをすべて油抜きし、水気を切るという作業を安心安全に行うのはちょっと無理があるかもしれない・・。」
すると突然
謎の男
「やぁ皆さん!!!さっきから聞いていれば、なんだかネガティブな発言ばかりでほんと困ったもんですね。よく聞いてくださいね、昨今の油揚げに油抜きは不要ですよ!!!!!」
謎の男の後ろから差す後光のせいで、まだ姿かたちを確認することができない。
金子専務筆者
「だ、誰!?」
謎の男
「いやー、驚かせてすみません!わたくし野口でございます」
ここで急に登場した野口は、筆者の会社の同僚だ。毎度金子製作所で取材する際に同行してもらっている。
筆者
「の、野口!あんた急にどうしたんだい」
野口
「わたくし油揚げについてはちと詳しいもので。えー昔から油揚げには目がないといいますか、油揚げを愛し、油揚げに愛され早28年。そんなわたくし野口が教えてしんぜよう。何度も言いますが昨今の
油揚げに油抜きは不要なんです。」
筆者
「なんだって!?ど、どうしてそう言えるのさ」
野口
「まぁ、落ち着いてください。順番に説明しますから。」
両手で場を落ち着かせるジャスチャーをしながら、野口は続けた。
野口
「昔は油揚げの油抜きをするのは当たり前だったのですが、その
理由は油にあります。昔は古い油を使ってあげることも多く、油抜きしないと"油臭さ"が抜けないというデメリットがあったわけです。
しかし、今は油揚げを製造する上で決して古い油を使うことはない。よって油揚げをわざわざ油抜きしないても使えるというわけです。」
野口
「さらに言いますと、油抜きにはもう一つメリットがある。それは油揚げに味をしみ込ませやすくするためでもあります。外側にまとわりつく油が、油揚げに味がしみ込むのを邪魔してしまうというわけです。しかしその細かな油揚げは、煮込んで味をしみ込ませるという用途ではなく、さらっとふりかけのようにかけて召し上がるのを想定していますよね。ともなれば、間違いなく油抜きは不要でしょう。」
野口は細断した油揚げを手に触れながら続けた。
野口
「筆者さん、そして金子専務!あなたたちの時代がやって
きましたね。おめでとうございます。・・・では、私はこれで。」
手についた油も気にせずさっそうと立ち去る野口の背中を、筆者と金子専務は何も言わずただ見送っていた。
・・・終わり。
検証結果
油揚げは「切刃で切りたい幅に切ることができる!」