機械のスイッチを入れる前に、"しそ"を機械の上にセット。
~うちの切刃で切れないものはない!~
風味と味の引き立て役!
しそ―。
何にでも合う万能薬味であり、スーパーに行けば一年中お財布にやさしい
値段で買うことができる。
料理の脇役と侮るなかれ。その高い栄養価、特に緑黄色野菜に多く含まれる
βカロテンの含有量はトップクラス。さらに殺菌や防腐効果、アレルギーの
改善、がん予防など、こんな簡単に手に入るものとは思えない、正統派な健康食材なのだ。
ところで、「しそ」と「大葉」は別物なのかと一度は気になったことはないだろうか。
一説によると呼び方の違いは住む地域に関係があり、
「しそ派」は中部地方から東の日本海側、「大葉派」は
関西より西が多いらしい。
ちなみに筆者は神奈川出身だが「大葉派」なので、
その説はあまり信じていない。
冒頭でも触れた"しそ"の効能の高さがうかがえるエピソードを一つ紹介しよう。
中国では"しそ"で死人がよみがえるといわれるほど。
なんでも三国時代に蟹を食べ過ぎて倒れ、紫色に変色した少年が医師に与えられた葉によって
蘇ったことが由来らしい。(おい少年、何やってんだよ)
このことから「紫」が「蘇」るで“しそ”となったそう。
今でも漢方薬として使われることがあるというから驚きだ。
かくいう筆者も大葉大好き人間で何につけても大葉をトッピングする癖がある。
かやくご飯や、つけつゆの麺類など、「大葉のせるともっと美味しいよな~」と思えるものには何でものせて食べる。で、やっぱり一番好きなのは大葉をたっぷりのせた明太子パスタかな♡
(知らねーよ)
もし"しそ"がすでに刻まれた状態で売られていたら、どんなにいいだろう。
"しそ"を刻むだけに包丁とまな板を使うことに気が引けることもないし、
「ふりかけ感覚でさっとのせることができる手軽さが超よくない?」
(急にため口)
そもそも薬味界のレジェンド、ネギは切り刻んで売られているのに対し、
"しそ"を切って売らないのはナンセンスじゃない。昨今は何につけても手軽さがものをいう時代だと思うんですけど!!!!(激おこ)
筆者
「こんにちは。さっそくですが今回は"しそ"を持参しました。
これを切っていただくことはできますか。」
金子専務
「あぁ、"しそ"?そんなの簡単に決まってんだろ。
もっと難しいの持って来いよ。」
顔を合わせてまだそんなに時間は経っていないが、さっそく金子専務節が止まらない。
その勢いに圧倒されつつも、筆者はしそが切れないと思う理由を説明した。
筆者
「"しそ"は食材の中でも薄くて破れやすいので、機械で切るのは難しいのではないかと思いました。また、刃の当て方次第では意としたようには切れずに粉々になってしまうのではないかと思います。」
金子専務
「どんなに薄かろうが、刃の種類と調整しだいで問題なく切れる
んだよ。俺は切刃のスペシャリストだぞ。舐めるんじゃねーよ。」
うう・・・。そう言われてしまっては手も足も出ない。
でも本当に切れるかは検証してもらわないことにはわからない。
早速検証をスタートしてもらった。
機械のスイッチを入れる前に、"しそ"を機械の上にセット。
じりじりと機械に吸い込まれていく"しそ"。
下を覗いてみると・・・。
ちょっとずつ顔をだす、しそされた"しそ"。
「おお、切れてる、切れてる!!!」
「すごい!きれいに切れているではないか!!!!!」
金子専務
「ほら言った通り切れただろうが。」
得意げな専務。
筆者
「く、くやしい・・・。」
やはり、創業100年の実績ある会社をなめてはいけない。
「切れないものはない!」
そう言い切るだけの理由を理解した気がした。
と金子専務から驚きの一言が。
金子専務
「前にも"刻みしそ"を商品化したいというお客さんの前でも切ったことがあって、その時もきれいに切れたけど、結局"刻みしそ"は商品化できないという結論になったんだよ。」
筆者
「え、どうしてきれいに切れたのに商品化はできないんですか。」
金子専務
「しそを切って売るまでの過程で、風味が消えてしまったり、刃に当たった部分が変色して赤くなっちゃって商品にするのは難しいということになったんだ。」
筆者
「!!!そうなんですね。切れたからと言って何でも商品化できるという訳ではなく、食材の品質維持ができなくてNGとなる場合もあるんですね。」
金子専務
「当たり前だろ!いくら上手に切れたって商品化するまでの過程で販売できない事情ができれば切刃は売れないんだよ!」
筆者
「なるほど。切れるだけではだめなのか。」
筆者は何か大事なことに気が付いたような気がした。
検証結果:しそは「切れるけど商品化するのは
むずかしいから、切れるけど、切れない!」
検証に付き合ってくれた、金子専務の懐の大きさに感謝したい。